ハンターハンター カイトの転生とカイトとコアラの懺悔の考察
今回は、カイトの転生とコアラの懺悔について考察してみます。
散々出尽くした考察のような気もしますが、自分なりの解釈を書いてみます。
この回は、描写がネームに近いこともあって、しかも単行本でも修正されていなかったことから酷評されているようですが、自分的にはこの絵けっこう好きなんですよね。
死生観の話をするにはちょうど良い感じの抽象画に見えたり・・・。
さすがに信者感が強すぎますか(笑)
カイトの転生は念能力によるものなのか?
まず、他のサイトを調べた時に、念能力でカイトが転生したとか言っている人がいたのに驚きました・・・。
さすがにそれはないでしょう(笑)
ジンがカイトの能力について説明したのは、あくまでカイトの意思について。
「ゼッテー死んでたまるか」と思わないと出る番号があるとして、そこに転生する能力が付与されるには条件が軽すぎますよね。
それぞれの番号にカイト自身が能力の内容を決めれなかったとしてもです。
追い詰められて死んでたまるかと思うのは自然なので、その程度で転生できるには制約的にも軽すぎます。
しかも技を教えたのもジン。
そのジンが番号を知っていたとしても、「アイツが生きてんなら多分そういうことだ」なんて言い方はしないはず。
転生能力であるなら、はっきりと言えるはずですよね。
そもそも転生なんてしたいか?ということです。
キメラアント編では、転生して前世の記憶を持つキャラが多く登場しすぎたので、感覚がマヒしそうになりますが、転生なんてそうポンポン起こってもらっちゃ命の重みも軽くなっちゃいますよね。
死後強まる念も使い放題です。
カイトの転生は特別?
キメラアント編はカイト以外にも前世の記憶を持つキャラが多いですね。
後でお話するコアラを始め、「前世”の性格はかなり影響しているし 名前を覚えてるヤツも多い」とのことでした。
ただ、キメラの場合、捕食されている点が特徴的です。
魂が移ったというよりも、元々の組織が組み合わさった後でも残っていた。
そんな感じでしょうか。
カイトは結局肉体は残っていたので、捕食はされていないと考えます。(脳みそだけ吸われたかもしれませんが・・・)
そんななかでも、魂とも呼ぶべきものだけがカイトちゃんに宿ったと。
これは、ジンが言う「アイツが生きてんなら多分そういうことだ」という意思の強さが関係しているんだと思います。
ゴンがいる時にでた3番はおそらく違いますよね。
自分の失敗は認めているものの、ゴンを守るために犠牲になるとは全く考えていない。
キルアがゴンを連れ去った後に、その番号が出たんだろうということですが、その意思の強さで、たまたま転生できたと。
コアラの懺悔
懺悔とはウィキペディアで調べてみると、「それぞれの宗教における神、聖なる存在の前にて、罪の告白をし、悔い改めることをいう。」とあります。
カイトちゃんは転生したので聖なる存在ということでしょうか(笑)
ただし、「何が悪かったのか?」
ここが重要なわけです。
それはゴンに対しても同じで、悔いることは簡単なようですが、その内容が的を得ていないままなんとなく悪いことをした思いだけで、謝る行為に酔っているケースが多い。
ここに対してのテーマだと思うんですね。
コアラの理屈でいくと、転生者は前世で満足に生きていなかった奴ということになります。
オレの場合、前も今も「このままでいいはずがない」と考えていると。
「繰り返したりやり直したりしなきゃいけないのは、生きてる内に心に与えるべき何かが足りなかったから」
こう言いますが、カイトからすれば同じ転生者として、ここは思うところがあるわけです。
カイトも元々ジンに会わなければスラム街の路地裏でのたれ死んでいたかもしれないとゴンに話していました。
でもハンターとして生きてきて、「これしかない」って生き方をしてきたつもりだし、転生した今でも全く変わらない。
転生に明確な条件があるわけじゃなく、たまたま今また生きているだけ。
だからこそ、いつ死ぬかわからない時まで、精一杯生きるしかない。
そんな強いメッセージが感じられる回じゃないでしょうか。
仮にコアラ自身は想定通り自殺してまた転生するとしても、グルグル同じことをしつづけるだけ。
ヒマでクソな考えであるけれど、カイトとしては特にどっちでも良いはずです。
コアラが撃った赤毛の女の子がカイトちゃんの原型かはともかく、なぜか放っておけなかったのは、人生を諦めている奴を見過ごせない優しさか、どこか昔の自分と似ているところがあったんでしょうか・・・。
団長は、死を毎日側にあるものとしている。
ジャイロのあいさつは、「死ぬまで死ぬな」。
ジンは「道中楽しみたい、それだけさ」と言いました。
これらのキャラの死に対する考えはどこか似ている部分があるかもしれませんね。
ハンターハンターには色んな死に関する思想を持つキャラが登場しますが、そこがまた深く面白く魅力的なところです。
今回はこのあたりで。